学生ローンの危機管理

※当サイトは、学生ローンや消費者金融が直面する危機管理について、詳細をレポートするものである。

平成18年1月13日、貸金業界を揺るがす世紀の判決が下された。
事実上のみなし弁済を無効とする判決である。
これによって、過払い金返還請求という貸金業界にとってとてつもなく大きな打撃を受ける事となった。
過払い金返還請求元年である。
追い打ちをかけたのが、取引履歴の開示義務だ。
これによって、貸金業者は取引履歴の開示に応じる義務が発生し、開示すれば過払い金返還請求をされるという地獄の構図ができあがった。
既存客だけならまだしも、過去に取引のあった完済客までもが対象となり、潜在する過払い金は会社の総資産を上回る貸金業者が相次いだ。
むろん、潜在する顧客全員が過払いを請求してきた場合の話だが。

学生ローンももちろん例外ではなかった。
相次ぐ取引履歴の開示請求、そこから発展する過払い金返還請求の嵐となった。
取引履歴の開示は当然拒否できず、学生ローンは対応に追われる日々となった。

当然、膨大な量の請求にすぐには対応できず、何日も待たせてからの対応となる為、損害賠償まで請求される有様だ。
過払い金返還請求の代理人となり得るのは弁護士と司法書士で、被告人である貸金業者の代表は誰でも構わない。
しかし、訴訟額が140万円を超えると、司法書士は代理人になりえず、また、被告人側も代表取締役が対応に迫られることになる。
一時、この「140万円」の壁をめぐって、弁護士や司法書士はそれぞれの都合で訴訟額を調整する不当な手法が流行った。
140万円の壁には2つの大きな要素があり、次のようなものである。

1.司法書士の制限
140万円を超えると簡易裁判所での扱いができず、地方裁判所扱いとなる。
この為、司法書士が扱う事ができず、弁護士のしか取扱いができない。

2.被告の代表者の制限
訴訟額が140万円を超えると、普段過払い対応に従事する従業員に制限が入る。
ほとんどの場合が代表取締役、つまり社長が裁判所にひっっぱり出される事になる。

まず、「1」について詳しく見てみよう。
司法書士が代理人として取り扱う事のできる訴訟額は、140万円未満と決められている。
これを超えると弁護士しか取り扱う事ができない。
するとどうなるかというと、訴訟額を意図的に140万円以上にする事によって、弁護士が依頼を独占できるのだ。
よって、過払い金が140万円未満でも、不当利得を付して不当に請求金額を水増ししている弁護士が相次いだ。

次に「2」についてみてみる。
学生ローンや消費者金融は、過払い金返還請求を大量に抱えている。
しかし、会社の代表者は1人しかいないので、裁判所に行けない貸金業者が続出した。
出廷しないのだから、裁判は当然原告側の主張がそのまま通り、貸金業者側は敗訴となる。
つまり、訴訟額を140万円以上にする事で、貸金業者が不在となる可能性が極めて高いのだ。

訴訟額を140万円以上にするやり方が、いかに弁護士にとって有利かがおわかり頂けただろう。
因みに訴訟額を140万円以上に調整する「不当利得」だが、弁護士側の言い分は何年間にもわたって過払い金がある事を知りながら、不当に高い利息を取った。
あるいは、取引履歴の開示請求に遅延があった等である。
過払い金返還請求とは、あくまでも「請求ができる権利」であって、貸金業者自ら積極的に返還しなければいけないというものではない。
当然、現在では不当利得については裁判所で却下されるケースがほとんどだが、武富士等はこの手法でとことん追い詰められ、倒産にまで追い詰められた。
いまさらだが、武富士は過払い金に加え、本来なら払う必要のない法外な不当利得の支払いで、一時1兆円以上とも言われた資産があっという間になくなった。
これらは不当利得と言いながらも、むしろ弁護士の不当利得と言わざるを得ない。
まぁ、法曹関係者からすればお叱りを受けるだろうが、あえて私見を述べた。
もちろん、弁護士も十人十色、誠実な弁護士も多数いる。
そんな中、一部の弁護士は、金儲けに奔走し、中には過払いで得た莫大な利益を隠し、脱税という法に携わる人間らしからぬ愚行まであからさまとなっている昨今である。
むろん、過払いを拒む貸金業者がいるのも事実としてある。
だが、弁護士からすれば貸金業者は金のなる木だ。
それを悪徳呼ばわりした上、貸金業者の名誉を踏みにじるような言動は、控えるべきだと思う次第である。