与信調査と総量規制の密接な関係

当サイトでは、学生ローンをとりまく周囲の問題について取り上げている。
ここでは、与信枠設定の限界について書いてみたい。
現在、総量規制の問題で収入の確認と他社の利用状況を定期的に調査する事が義務付けられている。
学生ローンはむろん、貸金業者はこれに相当頭を悩ませている。
というのも、信用調査は現在利用中の顧客のみならず、完済者まで調査する必要があるからだ。

信用調査は信用情報機関を利用するが、大手以外は一軒一軒手作業で照会する必要があり、手間がかかる。
手間だけならまだしも、お金がかかるのだ。
信用情報の照会は、日本信用情報機関の情報と、並行してCICの情報も取得しなければならない。
1件あたり80円ほどかかり、2機関の情報取得で160円もの費用が発生する。
これを一日何十件、何百件とやらなければいけないわけだから、相当の金額である。
しかも完済者の場合、借りるかどうかもわからないのに、与信判断をしなければいけないのだ。
ほとんどが無駄な作業に終わるわけである。

問題はこれだけではない。
与信を判断するには、収入の確認も必要である。
しかし、現実問題としていちいち収入まで確認していられないのが現状だ。
完済者はなおさらである。
そこで、年収の確認が数年間取れていない場合には、やむをえず与信枠を10万円に引き下げる処置が施される。
完済者にしてみれば、イザという時の為にアテにしている人も少なくないはずだ。
しかも、完済者の与信見直しは連絡は一切行わない為、9割以上の人は与信枠が10万円まで減額されることになる。
これは、利用者からしても打撃だが、学生ローンにとっても痛手となりかねない。
一人当たり70%近く与信枠を減額するという事になる為、営業的にはかなりマイナスとなり得るのだ、
信用情報の照会手数料という実費と合算すると、実質的な損害額はとんでもない金額となる。
それも一時的な出費ではなく、毎日継続して発生する損害だ。

本来であれば、こういった費用は広告宣伝費に充てるなり、金利の引き下げや景品等で、利用者に還元する費用に充てられるべきなのだが、このような事情でそれができないジレンマが常駐している毎日だ。
元々、総量規制は改正を前提とした異例な形でスタートした。
出だしからズッコケている法律により、多くの貸金業者や利用者が翻弄されているのである。